目黒将司 × Nerissa Ravencroft「Blue World」——これはただのVTuber楽曲ではない

nerissa
※この画像はAIによって生成されたものです。

最初に聴いた瞬間、「あれ、これ目黒さんじゃね?」と思った。

雰囲気が、あまりにも目黒将司すぎた。あの独特の空気感——都市的で退廃的、静かなのにどこかグルーヴしている、あの感じ。

ホロライブENのNerissa Ravencroft(ネリッサ・レイヴンクロフト)の楽曲には以前から『ペルソナ』的なムードを感じることがあったけれど、今回は次元が違った。

「雰囲気が似てる」じゃなくて、「これは本人だ」という確信。気づいたらSpotifyのクレジット欄を速攻で開いていた。

作曲:目黒将司。

やっぱり本人じゃあねーか!!

目黒将司とは何者か

念のため説明しておくと、目黒将司はアトラスのコンポーザーで、『ペルソナ』シリーズの音楽を中心に手がけてきた人物だ。

ジャズ、ファンク、ロック、エレクトロ——あらゆるジャンルを横断しながら、「都市的でスタイリッシュ、それでいてどこか退廃的」という唯一無二のサウンドを確立してきた。

ゲーム音楽の枠を完全に超えた存在で、彼の楽曲はゲームを知らない人間が聴いても純粋に「かっこいい」と感じられる。それが目黒サウンドの強さだ。

そんな人物が、VTuber楽曲のクレジットに名を連ねている。それだけで、この「Blue World」がただのタイアップや話題作りではないことは伝わるはずだ。

『ペルソナ5』の質感——理論じゃなく、体が反応した

音楽理論的な分析ができるわけじゃない。コード進行がどうとか、構成がどうとか、そういう話ではなく——ただ、体が反応した。

この曲の雰囲気や音の質感は、『ペルソナ5』の楽曲群に近い。

特にあのシリーズが完成形を迎えた段階の、洗練されたスタイリッシュさとグルーヴ感。

静かなのに体が動く、落ち着いているのにどこかざわつく、あの独特の空気だ。「Beneath the Mask」を初めて聴いたときの感覚に、少し似ている。

派手に盛り上がる曲ではない。むしろ抑制が効いていて、音の隙間でじわじわと引き込んでくる。

それでいて聴き終えた後には、確かに何かが残っている。この「残り方」が、目黒サウンドの真骨頂だと思う。

歌詞が描く世界——退廃と、わずかな光

歌詞は孤独や内面の揺らぎを正面から描いている。暗く、退廃的。

しかしそこで終わらないのが、この曲の肝だ。

曲が進むにつれ、閉じた世界にごくわずかな光が差し込んでくる。その光は「救済」と呼べるほど明確ではない。

劇的なカタルシスもない。ただ、かすかに景色が変わる——それだけだ。その「それだけ」が、妙にリアルで、妙に刺さる。

聴き終えた後に残るのは重さではなく、静かな余韻だ。

落とされるわけでも、無理に救われるわけでもない。

その絶妙な落としどころが、この曲を単なる「暗い曲」で終わらせていない。

Nerissaのボーカルが、目黒サウンドと噛み合っている

そしてもう一つ、見逃せない要素がある。Nerissa Ravencroftのボーカルだ。

彼女の声は低音寄りで、艶がある。過剰に主張せず、けれど確かな存在感を持つ。

この「主張しすぎない強さ」が、目黒サウンドとこれ以上ないほど噛み合っている。目黒サウンドは余白が命だ。

そこにパワー系の声を乗せれば余白が潰れる。

Nerissaの声はその余白に自然に溶け込みながら、同時に楽曲の核を担っている。

思えば、彼女のこれまでの楽曲群にも、どこか『ペルソナ』的なムードが漂っていた。ダークで洗練された空気感、夜の都市を思わせる雰囲気。

それが今回、文字通り目黒将司本人との仕事として結実したことに、ある種の必然性を感じずにはいられない。

ホロライブの文脈で言うと

ホロライブにはこれまでも質の高い楽曲が数多くある。ただ、「Blue World」はその中でも一線を画していると思う。

アイドルコンテンツとしての楽曲ではなく、純粋に「音楽作品」として勝負している一曲だ。

2026年、こんなものが出てくるとは正直思っていなかった。話題性に頼るのではなく、曲そのものの完成度で聴かせにきている。

そのことは、一度通して耳を傾ければ伝わるはずだ。

「VTuberの曲でしょ」と思っているなら、そのラベルをいったん脇に置いてほしい。

思いのほか深いところまで、連れていかれるかもしれない。

とんでもないものが出た。それだけは確かだ。

歌詞を追っていくと、孤独から自己変革へ向かう流れが見えてくる。
曲の下に和訳を記載したので、英語がわからない方は是非確認してみて欲しい。

「Blue World」歌詞和訳

誰もいない道を歩いていく
どこへも向かう場所なんてなくて
迷子で、孤独で
そう、ここにいるのは私ひとり

蝋燭の火のように燃え尽きて
夜の闇を焼き尽くすように取り残され
ゆっくりと溶けていく
私という存在が何一つ残らなくなるまで

灰色に染め上げられた世界で
ただ目の前を通り過ぎていく日々を眺めている
どこかへ飛び立てるような
そんな道を見つけたくて
私はこの“青く、憂鬱な世界”を漂っている

ずっと分かっていたことだけど
この世界はどれほど残酷になれるものか
私の影だけが唯一
隣に寄り添ってくれる存在

誰からの愛も受け取れず
スマホに通知が来ることもない
沈みゆく静寂が
私の営む生そのものを飲み込んでいく

灰色に染め上げられた世界で
ただ目の前を通り過ぎていく年月を眺めている
ずっと留まっていてほしい記憶は
いつも色褪せて消えていく
私はこの“青く、憂鬱な世界”で孤独を感じている

たとえ心が引き裂かれ
疲れ果てた翼が摩耗していても
今夜くらいは
幸せが目に見えるような
もっと良い人生を夢見てもいいだろうか?

灰色に染め上げられた世界で
自分の人生が通り過ぎていくのを眺めている
きっと、まだ手遅れじゃないはずだ
ここから逃げ出せないのなら
自分だけの道を切り開くしかない

灰色に染め上げられた世界
パレットを手に
私には変えることができる
力を振り絞ってみよう
深呼吸をして、絵筆を動かすんだ
この“青く、憂鬱な世界”に、色を添えるために

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